生産者の紹介
「われ一位なり。かつて二位なりき。されどムートンは変わらず。」
シャトー・ムートン・ロスチャイルド/Chateau Mouton Rothschild
メドックの格付けには61のうち18ものシャトーが含まれ、それらのシャトーの畑が、栽培面積のほとんどを占めるのがポーイヤックである。左岸で最も有名なアペラシオンといっても過言ではないそのポーイヤックに属する3つの一級シャトーのうちの1つ、そして格付け2級から1級に上がった唯一の存在であるシャトーが、シャトー・ムートン・ロートシルトである。
ポーイヤックが高品質ワインの生産地に向いている理由は、砂利がアペラシオン全体にほぼ一様に堆積していてその堆積層が他のアペラシオンよりも厚いからである。その厚く水はけの良い砂利質土壌が日中の熱を蓄えることで晩熟なカベルネ・ソーヴィニヨンが完熟しやすい。そしてそのポーイヤックの北部に、標高25mというメドック北部で最も高い砂利の丘がある。そこに陣を構えているのが、シャトー・ラフィット・ロートシルトとシャトー・ムートン・ロートシルトなのである。ちなみに「ムートン」とは羊ではなく、古いフランス語で小高い土地を意味する「motte」または「mothon」からきていると言われる。
ロートシルトとは、世界屈指の金融機関ロスチャイルド銀行に名を残す、ヨーロッパの財閥として名高いロスチャイルド家のドイツ語読みである。18世紀後半にフランクフルトのユダヤ人街からヨーロッパ金融界を牽引する存在となり、現在のロスチャイルド銀行の基礎を築いたマイアー・アムシェル・ロスチャイルドの孫にあたるナサニエルが、1853年にシャトーを買い取り、現在のシャトー名が名付けられた。ラフィットを購入したジェームズは彼の叔父にあたる。当時からメドックの中でもトップクラスの品質のワインを生産していたが、1855年のパリ万国大博覧会に併せて行われたメドックの格付けにおいて、二級に選ばれてしまう。これは決して品質が劣っていたわけではなく、ロスチャイルド家の国籍や、新購入者に対する反目が原因だったと言われている。「われ一位たり得ず、されど二位たることを潔しとせず。われムートンなり」。そこからシャトー・ムートン・ロートシルトは捲土重来を期すことになる。
1973年にフランス初のトーキー映画をプロデュースをした演劇の演出家でもあり、イギリスの演劇や詩のフランス語への翻訳家でもあった鬼才、当時の当主バロン・フィリップの懸命の努力によって第一級に格上げとなる歴史的快挙を果たす。その時に彼が残したのが冒頭の名句、「われ一位なり。かつて二位なりき。されどムートンは変わらず。」である。彼はその他にも、現在では当たり前になっているシャトーでの元詰めを始めたり、1924年からピカソやシャガール、アンディー・ウォーホルなど名だたる同時代のアーティストをラベルのデザイナーに採用し始めたり(1936年に一度中断し戦後に復活)、アメリカ・カリフォルニアに進出しロバート・モンダヴィとタッグを組んでカルトワイン、オーパスワンを生み出したり、ワイナリーの当主として数々のユニークなアイデアを実現し、シャトーの価値を大きく高めていった。
その彼の死後1988年からはフィリップの娘フィリッピーヌが当主を引き継いだ。フィリップの時代と変わらず、90ヘクタールにも及ぶ畑のうちの80%を占める、完璧なテロワールから生まれたカベルネ・ソーヴィニヨンを生かしたずば抜けて長命なワインを作り続けている。未だにオーク材の木製タンクを使用する伝統的な醸造を続け、ボトル元詰めを始めた1925年から使用している「グラン・シェ」という巨大な建物で6か月間の最初の熟成を行う。このように変わらず継承されている”伝統”がある一方で、シャトーの大規模改修やチリのコンチャ・イ・トロと共同でのアルマヴィーヴァのプロデュースをしたり、熟成に用いる樽の焼き具合を変えさらに新樽比率をより高めることで、カベルネ・ソーヴィニヨンの限りないまでの完熟と平均樹齢50年という古木ならではの複雑性や凝縮度をさらに生かしたワイン造りを実現するなど、まるでラベルのアートのように、時代に合わせてユニークな革新を続けるという”伝統”さえも継承されている。まさに「ムートンは変わらず」であり、それぞれのヴィンテージを楽しむということは、変わらず革新を続けるシャトーの歴史を体感することになるであろう。
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シャトー・ムートン・ロスチャイルド ポイヤック 1997年
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